田村三木ヱ門夢
『恋に恋する暇がない』
お互いを見つけたのは、多分同時だったと思う。 三木は庭の隅でユリコの手入れをしていて、私は廊下を一人で歩いていた。 放課後、先生からの言いつけの用事が終わって長屋へ帰ろうとして、ふと庭に視線を向けたら、三木がいた。 あ、と思ったその時、三木も私に気づいた。三木は一瞬驚いた顔になったあと、すぐに微笑む。 「先輩!」 嬉しそうな三木の声に、私は一度ぎゅっと胸を締め付けられた。悲しいとかじゃなくて、嬉しくてだ。 「三木」 縁側から地面に降りて、私は足早に三木の元に向かう。先輩、とまた微笑む三木に駆け寄って、私も笑う。 「ユリコの手入れをしてたの?」 「はい、ここなら誰かに邪魔されませんから。……先輩は、どうしてここにいらしたんですか?」 三木が少しだけ不思議そうにしているのは、この場所があまり人通りの無い裏庭だからだ。三木の言うとおり、ここでなら誰かに邪魔されないだろう。 「私はね、先生から頼まれたお使いの帰りだったの」 「そうですか」 私の言葉に、三木は嬉しそうにふわっと笑う。 その微笑みは三木がいつも私に見せてくれるもので、私がとても好きな笑顔だった。その顔を見ると、私は安心出来るから。 けれど、三木は今作業中なのだ。ユリコ始めとする火器を三木がすごく大切にしているのはよく知っているから、邪魔しては悪い。 「ごめん、三木。ユリコの手入れ中なんだよね。邪魔しちゃいけないから、帰るね」 「あ、先輩」 背を向けたその時、三木が私の腕を掴んだ。引き止められて、私は三木を振り向く。 「……なに?」 「あの、そんなことないです。邪魔じゃないですから」 顔を少しだけ赤くして、三木は腕を離さずにじっと私に視線を向ける。懇願されるようなその視線に、私も顔が赤くなりかけた。 「いいの?」 「はい。先輩さえ良かったら、もう少し私と一緒にいてください」 「……うんっ!」 すごく嬉しくなる。そのまま三木に勢いよく飛びつくと、三木は驚いたように「わ」と声を上げながら、私の身体を受け止めてくれた。 「せ、先輩、ちょっと」 「三木、好き」 告げた途端に、三木の身体が固くなる。しがみついている分その動揺が直接に伝わってきて、私は思わず笑ってしまう。三木の身体にぎゅっと身を寄せると、三木の腕が私の身体を抱き締めてくれる。その温かさと強さに、安心する。 三木と私は、会計委員の先輩後輩で、恋人同士だ。好きだと告げられて、私もだと返して、そうして傍にいるようになった。 異性で学年も違う私達は、委員会活動や共用の場でなければ、ほとんど会う機会がない。今みたいに偶然に会えることはすごく珍しくて、私はそれが嬉しかった。ここ数日、珍しく委員会が休みで三木に会えていなかったから、なおさらその思いが強い。 そしてそれは、もしかしたら三木もだったのかもしれない。 「先輩」 三木が少しだけ体を離して、私の頬に手を触れる。顔を優しく上げさせられて、三木と視線が合った。 「私も先輩が好きですよ」 告げられて、くすぐったい気分になる。三木は私のことを、なんだかすごく大事なものを見る目で覗き込む。 「……じゃあ、相思相愛だよね」 「はい」 私達は微笑み合うと、どちらからともなく唇を重ねた。触れた途端に、身体が震える。三木にこうして触れてもらうのは、久しぶりだ。 軽く音を立てて、お互いの唇を啄ばむ。柔らかくて私より少し熱い三木の唇が、私のそれを優しく包む。角度を変えて、幾度も重ね合う。頭がぼうっとしてくる。 みき、と唇を重ねたまま名を呼ぶと、突然に三木の動きが強くなった。三木の指が少し痛いほどに頬を掴んで、強引に口付けを深くされる。口腔内に三木の舌が入り込んでくると、身動きすら取れなくなった。三木の熱い舌がこちらのそれを絡み取り、滲み出た唾液を飲み下される。麻痺するまで舌を吸われて、知らず堪えるような声が漏れる。 口付けを交わしながらも私を見つめる三木の視線に、ぞわぞわと背筋に震えが走る。背に回されていた三木の手が、やんわりと私の腰元に下りる。撫でられるその動きだけで、頭がじんとする。 「……んっ、……み、き」 激しい口づけの合間に、名前を呼ぶ。脳内を侵すように響く、私と三木の口付けの音。 少し息が苦しくて涙が滲んできた頃、三木はようやくにゆっくりと唇を離してくれた。途端に力が抜けそうになり、三木の腕が私を支えてくれる。 「す、すみません、先輩」 強引な口付けのことだろう、謝る三木になにか返したいのに、息が苦しくて言葉が出なかった。縋るように身を寄せると、三木の手が優しく背を撫でてくれる。 「ん……もういいよ、三木」 息を整えて顔を上げ、三木の頬に軽く唇を寄せる。三木はほっとした顔で、私の頬に同じように唇を寄せた。それが頬から額に、涙が浮かんだ目尻にも触れて、そして最後に、また唇を柔く重ねる。 けれど、今度の接触はほんの一瞬だった。三木は顔を離して、それだけじゃなくて僅かに視線を逸らす。 「三木……?」 戸惑いつつも私から唇を重ねようとすると、三木が慌ててそれを制する。 「だめです。先輩」 「……なんで……?」 久しぶりなのに。さっきの様子を見ると三木だって嫌じゃないはずなのに。なにが駄目なのか分からなくて、私は少し寂しくなる。三木は私の様子に気づいたのか、慌てて私の顔を覗き込んだ。 「ち、違います先輩。あの……」 ぐっと、三木が私の腰を引き寄せる。今まで以上に密着する三木の身体に、私はようやくそれに気づいて顔を赤らめた。なんだ。 「三木、勃ったの?」 「……はい」 聞くと、三木は私の瞳を見たまま、頷いた。多分私のそれと同じ、赤くなった頬が、近い。 「先輩」 三木が、私を抱き締める。耳元で、熱を持った三木の声が囁かれる。 「先輩が欲しいです。……抱いてもいいですか」 その言葉に、ぞくりと震える。途端に跳ね上がる鼓動を感じながら、私も三木の耳元に唇を寄せた。 「うん。私も、三木が欲しい」 私と先輩が睦むのは、大抵の場合お互いの部屋か長屋の空き部屋だった。けれど今はまだ夕方で長屋も騒がしいし、夜中でもないのに同室の相手に交渉も出来ない。それになにより、私には日が落ちるのを待てるほどの余裕がなかった。 すぐ傍にあった用具倉庫の裏。塀とに挟まれた場所だから、他人に見られる心配はほとんどないはずだった。いいですかと尋ねたら、先輩は楽しそうに笑う。 「外で、初めてだね、三木」 照れたように笑いながら、先輩は草の上に座って私の腕を引く。自分で言ったことだけど、地面の上でなんて先輩に少し申し訳なくて、私は慌てて先輩の腕を掴み返した。 「先輩、大丈夫ですか。下、痛いなら私の膝に乗ってください」 「大丈夫、地面柔らかいし、草生えてるし。野宿なんて実習で慣れてるし」 先輩がそう言ってくれても、さすがにそのまま押し倒すのには抵抗があった。けれど早く先輩を抱きたいのも事実で、私は一瞬躊躇した末に、結局は先輩の言葉に甘えてその場に組み敷いた。先輩は自分の髪を解いてしまうと、草の上にゆっくり身体を横たえて、私の首に手を回して引き寄せる。 「三木、好きよ」 どこか夢見るようなその微笑みに、頭が煮えた。 顔を寄せて、先輩の唇を奪う。今度は、ゆっくりと舌を絡める。その感触が心地良くて、無意識に目を細めた。舌の表面同士が絡み合って刺激し合って、唾液がお互いの口の中を行き来する。溢れそうなそれを飲み下して、先輩の小さな舌を柔く吸う。時折呼吸のために離しながら、それでも飽きずに幾度も重ねる。 身体を抱き締めると、先輩の匂いがする。この匂いを嗅ぐと、私はいつも欲しくなる。ここ数日会えなかったし、その前もいろいろあって先輩に触れられなかった。だからいつもよりずっと、先輩がすごく欲しい。私のものにしたい。 唇を重ねたまま、先輩の胸元に手をやって、袂を割る。先輩は背を浮かせて、自分から着物の腕を抜く。その下の黒い薄着に、腹からゆっくり手を上になぞる。 「は、……三木」 薄布の上から、先輩の膨らみに手を当てる。軽く揉むと、直接触っているわけではないのに、弾力のある肌が私の指を押し返してくる。まだ立ち上がっていない先端を優しく撫でると、ん、と先輩が鼻にかかる吐息を漏らした。 口付けを重ね合いながら、胸への愛撫を続ける。少しずつ先端が立ち上がってきて、下着の上からでもそれが分かるようになる。 もどかしくなって、唇を離した。最後に啄ばむ口付けで先輩の唇を吸うと、黒い下着をたくし上げる。 「ん、脱ぐよ、三木」 先輩が軽く起き上がって、手早く脱ぎ捨てる。まだ日が落ちていないので、その裸体はくっきりと目に映る。白い鎖骨と胸元と腹と、眩しいそれに、昂ぶった。 「あ、……み、き」 先輩を押し倒して、直接に素肌に手のひらを滑らせて、またその膨らみに触れる。さきほどよりもずっと質感が分かる。しっとりと汗ばんだ素肌が、私の手の中で形を変える。すぐ傍にある形のよい乳房と赤い先端に、堪えきれずに唇を寄せる。 「んっ……や、くすぐったい……」 柔らかな感触に、酔いそうになる。赤い小さな果実みたいな頂きを舌で愛撫すると、私の口の中でまた固くなる。膨らみを揉みながらもそれを攻め続けると、先輩の下腹がぴくんと震える。鳥肌が立ったみたいにわななく素肌に、感じてるんだと分かって、ぞくりと嗜虐心と征服欲が湧き上がる。 「や、三木、恥ずかしい」 先輩は小さく声を上げて、私の頭に手を当てる。その手が震えているのを知って、嬉しさがこみ上げてくる。もっと、啼いてほしい。 「……先輩、痕、つけてもいいですか」 先輩は私に視線を向けて、涙の滲む瞳で一度笑う。 「うん、いいよ。……でも隠れるとこにしてね」 「……はい」 二つの膨らみの真ん中に、舌を這わせて吸い立てる。ぴく、と先輩が小さく震える。赤い、唇の痕が残る。 鎖骨と、下腹と、脇下と、私のものだと主張するように、優しく丁寧に痕を残す。先輩の手が、私の首筋を撫でる。指先が通った後がくすぐったくて、軽く痺れが走った。 「三木……手、かして」 「……え?」 先輩の指が、私の首筋から頬に移動する。ね、と優しく私の頬を撫でる先輩に、よく分からないまま左手を伸ばした。 先輩は私の左手を掴んで、袖をめくって手首に触れる。そのまま引き寄せて、唇を寄せて吸い立てられた。甘い、微かな痛み。私がそうしたように、唇の痕を。 「……先輩……?」 「三木は、私の……だよね?」 僅かに震えた声で、先輩は私の手首をやんわりと舐める。軽く懇願する声に、眩暈がする。望まれていることが嬉しい。起き上がって、先輩の顔を見下ろす。 先輩は私の腕を離して、両腕を私の首に回して引き寄せる。そのほんの少し緊張した瞳に、微笑んだ。 「はい。私は、ぜんぶ先輩のものですよ」 「ん……でも、私もぜんぶ三木のだよ」 ほっとするように力を抜いて、先輩は私の頬に音を立てて口付けをする。 ……ああ、可愛い。 頭に血が上る。先輩がすごく好きだ。その事実に煽られる。目の前の人が全部欲しい。 先輩の両足を割って、手を差し込む。太ももを軽く撫で上げてから、ゆっくり、白い下腹に手を伸ばした。 先輩は拒まない。だけど身を僅かに固くする。先輩の、剥き出しの首筋に顔を埋める。軽く甘噛みしながら、先輩の腹から、その下へと手を滑らせた。 「んっ」 先輩の秘所に、袴の上から柔く触れる。熱を持っているけれど、滲みるほどには濡れてない。指先で上から下に、下から上にと撫でるように愛撫する。少しの間それを繰り返してから、強く指を押し付けた。 「……っあ、三木」 きゅう、と先輩の足に力が入り、私の腕を挟むようにする。けれど私の指の動きを阻むことは出来なくて、少し膨らんで形の分かる陰核に触れた瞬間、びくりと先輩の腰が跳ねる。先輩が痛みを感じていないことを確認してから、軽く引っ掻くように核を攻める。先輩は、縋るように私にぎゅっとしがみつく。どこかに快感を逃がそうとするように、深く息を漏らして。 「ここが一番気持ちいいですか」 「は、恥ずかしいこと聞かないで」 「どうしてですか、恥ずかしいことをしてるのに」 「み、三木はときどきいじわるだね……んっ、や」 ますます膨らんできた核を親指で攻めながら、膣口の上に人差し指を這わせて軽くかき回す。く、と先輩の眉がひそめられる。じんわりと袴に滲みてきた蜜の熱さに、指がふやけそうになる。 「ん、……だ、だめ、離して」 先輩が私の肩を軽く叩く。伝えたいことは分かったけれど、私は指の動きを止めなかった。びくんと先輩の腰が跳ねる。息が荒くなる。抱き締めている身体が、じんわり熱くなる。涙が浮かんだ瞳が、切なげに細められる。 「……だめ、三木。達するから離して」 「いいですよ、先に達してください」 「や、やだ!」 ぱし、と少し強く頭をはたかれて、私は苦笑して腕を引く。指に絡む、滲み出た蜜をぺろりと舐めた。 「……っ……はぁ」 身体から力を抜いて、先輩は息を整えていく。先輩の熱が少しだけ引いたのを感じて、私は物足りなさを感じる。 「達してくださっても良かったのに」 「やだ……。入れる前に達しちゃうと、入れたときにすぐまた達するから。こ、怖いからいや」 少し怒ったように、先輩は私を睨む。私はむしろそっちのほうが嬉しいけれど、先輩は連続で達することにまだ抵抗があるらしい。 「じゃあ、もう入れてもいいですか、先輩」 先輩の顔を覗き込むと、先輩は「う」と困ったような顔をして、それから私の意図に気づいたように、軽く笑った。私の顔を引き寄せて、額と額を合わせる。 「いい、よ、入れて」 至近距離、睫の触れそうな近さ。どくんと震える。先輩のねだる声に、頭が痺れる。それを察して、先輩は笑みを深くした。 「中に入れて、三木。三木のが欲しい、すごく」 「そ、そこまで言わなくていいです」 「言わせようとしたくせに」 愉しげな先輩の微笑みに、少しだけ嗜虐心が湧き上がる。先輩、私をからかう余裕なんか、全部なくなればいいのに。 「後ろからでいいですか」 「ん……いいよ」 先輩は一度起き上がって、身体を下に向けるように反転させる。手をついて腰を上げる、四つん這いの格好。自分の上半身の装束を脱いでから、後ろから先輩の腰帯を解いて、膝元まで袴と下穿きを下ろした。 先輩の腰に手を回して、少し足を広げさせる。見られるのを察して、やだ、と先輩が羞恥に軽く震える。 「み、みき。あんまり見ないで。まだ明るいし」 「……いやです」 「な、なんで」 焦る先輩の声に、嗜虐心がまた沸き起こる。 先輩の秘唇は、愛撫のせいかひくひくと痙攣して赤く色づいている。とろとろになった蜜が白い太ももに流れて、それを見ただけで下半身が震えた。女の人の、……先輩の匂いがする。もっと、啼いて欲しい。ゆっくりと、先輩のそこに唇を押し当てた。 「っひゃ! や、み、き……や、っ……んあ!」 ねっとりとした先輩の匂いと味に、なにも考えられなくなってくる。舌で上から下までなぞると、先輩の腰が跳ねる。力が入らなくなったのか、崩れるように地面に肘をついて、そのせいでますます私に腰を押し出す形になる。先輩の太ももに腕を回して、濡れた秘唇を探るように舌で愛撫する。襞を割って、一番熱い場所に柔く舌先を入れると、どろりと中から蜜が押し出される。 「や、三木だめ……なめちゃ、やだ……っ!」 涙声の先輩の喘ぎはむしろ私を煽るもので、なんの抑止力にもならなかった。私の唾液なのか先輩の蜜なのか、どんどん濡れていく先輩のそこに、舌で愛撫しながら指を軽く押し込んだ。第一関節くらいまで浅く埋もらせて柔く抜き挿しを繰り返すと、先輩の声に艶が混じる。 「……や、……んー、……み、みき」 たぶん中に刺激が欲しいんだと思う。先輩はもどかしそうに腰を震わせて、奥へと誘うように指を締め付ける。それに逆らって、指を一気に引き抜いた。 「い、いじわる……」 涙の浮かんだ瞳で、先輩が私を振り向く。酔った瞳、紅潮した頬に、私にも余裕がないことを知る。口の中の先輩の味を飲み下して、先輩に覆い被って、その唇に小さく口付けを落とす。一度、軽く舌を絡め合う。 「入れますね、先輩」 「ん、……うん」 正直なところ、少し前から完勃ちしていて、耐えるのもそろそろ限界だった。身体を引いて、先輩の腰を抱え直す。腰帯を解いて固く張り詰めた陰茎を出して、一度先輩の割れ目をなぞる。べとべとになったそこは本当に熱くて、軽く擦り合わせる刺激だけで強烈な快感が走る。先輩の肩が堪えるように小さく震えるのを見ながら、ゆっくり、先端を中に押し込んだ。 「ふあっ! み、三木、……あ、」 「……く……」 狭い中を押し開いて、奥へと進む。包み込むように柔らかく締め付ける中に、久しぶりだということもあって、軽く達しそうになった。 一気に貫きそうになるのを、無理矢理に耐える。どれだけ愛撫しても、先輩の中は狭くて、最初に入れるときだけはいつも少しだけ痛そうな顔をする。だから、理性を保って、ゆっくり進む。 三木が、私の中に入ってくる。 少しの痛みと異物感と、それをかき消す快感。内臓ごと抉られるような刺激に、容赦なく喘ぐ。私を気遣ってくれているのか焦らしているのか、ゆっくりと入ってくる三木の先端がもどかしい。突き入れてくれても、いいのに。 「あ……っ、は、……うぁ」 「痛い、ですか」 「い、痛くない。奥まで、入れて」 三木の身体が近くなる。私の背に口付けを落として、ぐっと腰を引き寄せた。ぐちゅ、と私と三木が繋がった場所に水音が響いて、私の中、最奥まで三木が届く。先端が子宮口をくすぐる感触に、ぞくぞくと背中が震えた。 「……ん、は……ぁ……」 三木はそこで一度動きを止めてくれる。私の中が、三木に慣れるまで。 「先輩」 三木が私を背中から抱き締めてくれる。背中全部に感じる、三木の身体がすごく温かい。頭がじんじんする。三木を振り向こうと身じろぎした瞬間、私と三木の結合部から蜜が漏れて、私の太ももに伝って落ちた。 「動いていいですか」 耳元の三木の声は、掠れてる。無意識に、三木の腰はもう動き始めようとしてる。いいよ、と囁いて、私は三木を感じるために目を閉じる。 揺さぶられる。最初はゆっくりと、けれどだんだんと勢いを増して、三木が私の中をかき乱していく。抜き差しする度に響く卑猥な水音が、私に羞恥を与えてくる。それが本当に恥ずかしいのに、昂ぶるように私の下腹に震えが走り、三木を締め付けてしまう。 三木のそれが私の中を強く抉るのは、まだ少し痛い。中から圧迫する質量は、少し苦しい。 けれど、そんなものどうでもよくなるくらい、すごく──気持ちいい。 「ん……! ん、あ、……は、三木、きもち……い」 「、先輩……」 三木の唇が首筋を撫でる。いつのまにか胸元に伸びた三木の手が、私の膨らみを強く掴んでる。快感に踊らされている私には、乱暴なその愛し方すら悦びに変わる。張り詰めた乳首を押し潰すように触れられるだけで、ますます三木に酔って行く。 三木。 「三木、すき、よ」 三木のことしか考えられない。頭が溶けて行きそう。涙が頬を伝って行く。全部、三木が好きだから。 「……。私も」 三木の癖なのか、それともそうと決めているのか。お互いがすごく酔ったときにだけ、三木は私を呼び捨てにする。いつもそうしてくれればいいのに。 「私、も。あなたが好きですよ」 「うれ、し……」 ぎゅう、と。三木の手が、私の手を包み込んでいる。私より大きなそれに握りこまれて、まるで離さないと言われているようで、堪らなくなる。 「は……! ん、っあ、は……!」 三木の動きが強くなる。私から思考を奪っていく。突き動かされる私の中は、きっと私の頭と同じで、三木に溶かされてる。 「あ────っ」 唐突に、頭に痺れが走った。 久しぶりだったからか、いつもより早く予兆が来た。さっき焦らされたせいもあるのかもしれない。 「だ、め。達する、三木」 「私も……もう出ます、先輩」 切なそうな三木の声に、下腹にまた痺れが走る。三木もいつもより少し早いのは、私と同じで久しぶりだからだろうか。 「ん。じゃあ、一緒にいこ?」 三木を誘うと、三木は唇を笑う形にして、はい、と私の額に一つ口付けを落とした。 下腹と頭に集中して、私は達するまでの時間を長引かせる。最初は私も達することがなかったし、三木はそれをすごく気にしてた。でもお互いに達することを覚えてからは、出来るだけ一緒に、と私はいつも三木にねだる。 三木が私から少し離れて起き上がり、私の膝を抱えなおす。私が達しやすいように。三木の呼吸に私のそれを合わせて、低く息を吐く。けれど長引かせるにも限界があって、ほとんど時間が経たないうちに、私の背中にぞくりと強い震えが走る。 「だめ、……や、あ、三木、」 足が引きつるように強張る。察したのか、三木の動きが今まで以上に強くなる。がくがくと揺さぶられて、頭に靄がかかったようになる。意識が飛びそうなほどに強い、甘い刺激。 「み、き。……ん、や、……ふ、ぁ、あ」 限界だと思った瞬間、三木が一度大きく腰を引いて、そのまま強く打ち付けた。どん、と揺さぶられて、子宮口に鋭く突き上げられて、私は一気に頂点に叩きつけられる。身体の奥底から瞬く間に昇ってきた熱が、強い勢いで弾けた。 「────あ、あああああ!」 「……っ」 同時に、三木も大きく息を吐いて、私の中から引き抜いた。瞬間、お尻から背中にかけて、熱い三木の精がかかる。目の前が白くなる。達した身体が、びくりと快感の余韻に震えた。 「あ……」 まだ何秒かごとに走る甘い痺れに、私は身体を固くする。三木の手が私の前髪を後ろからかき上げて、首筋に口付けを落とす。汗ばんだ私と三木の肌。二人とも、荒い呼吸。 目の前が、涙とか脳がぐらぐらするせいで、よく見えない。背中と、まだ熱いところを軽く撫でられる。途端に熱が少し引いたから、ああ、三木が清めてくれたんだと理解した。でも、まだ絶頂の余韻が響いていて、上手く動けない。 呼吸が落ち着いたところで、ようやく手に力を入れて身を起こす。下ろしていた袴と下穿きを手探りで直すと、まだ私の腰を抱えてくれていた三木が、すぐに私を引き寄せてくれる。力の入りにくい私を支えて、三木の膝の上に、対面するように。 「ん……ありがと」 上はまだ裸だったけど、今はそれくらいじゃ恥ずかしくない。達した身体は軽く疲労していて、私は三木の身体に身を預けた。ほっとする。 抱き返してくれる三木が、乱れた私の髪を直してくれている。それに甘えてぼうっとしていると、三木が突然に勢いよく私の腕を掴んだ。 「っ、なに、三木……」 「先輩、腕が」 「え? ……あ」 視線を向けると、揺さぶられてる間地面に手をついていたからか、二の腕が擦り傷だらけになっていた。よくよく見たら両腕ともそうで、三木が慌てて私の頬に手を当てたから、多分顔もだったんだろう。そういえば額がちょっとひりひりするような気もする。 「す、すみません先輩! 痛くないですか!?」 「いいよこんなの、ただの擦り傷だからすぐ治るよ」 「でも先輩……」 いいと言っているのに、三木は責任を感じているのか顔を曇らせる。それが嫌で、私は三木の頬に手を伸ばす。 「ねぇ三木、気持ち良かった?」 顔を見上げると、三木は顔を赤らめた。それから、今度は逆に私の顔を、軽く睨むように覗き込む。 「……先輩、ごまかさないでくださいよ」 「ごまかしてないよ。私は気持ち良かったから、いいの」 「っ……」 三木は私から視線を逸らす。小さな声で、反則ですよ、と呟く。 「……良くなかった?」 少し心配になって問うと、三木は軽くため息をついてから、やれやれと微笑んだ。 「……良かったです、すごく」 「うん」 その言葉が嬉しくて、私は笑う。 三木はまだ心配そうに、私の腕から砂を落として、傷に軽く舌を這わせている。じんと痺れる微かな痛みを、私は幸せだと思う。 「……すみません、先輩」 謝る三木に、私は三木の肩に手を置く。膝を伸ばして、顔を近づける。口付けられるぎりぎりの距離。 「それなら、次は三木が下になってくれる?」 「…………先輩」 近い距離で、三木は私に視線を返す。少し驚いた、三木の瞳。 「だめ? ……もうしたくない?」 「いいえ」 三木は即座に否定して、私の頬に口付けを落とす。ほんの少し、悪戯そうな視線で、私の瞳を覗き込んだ。 「……長い間触れられなかったから、あなたに飢えてるんです。そんなことを言われたら、抑えられません」 熱の込められた視線と声に、私は下腹に震えが走る。求められている。私も三木に、欲情してる。 三木の首に手を伸ばす。三木が私を強く抱き返してくれるのを嬉しいと思いながら、私は微笑んだ。 「じゃあ、いっぱいしよ」 終 |